田中慎樹メモ

ネット広告、ビジネスモデル、ベンチャー、経営、日常について

「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」ppt/pdf配布@総務省

公開されて盛り上がってますね。

資料ではベンチャー企業における計画作成の手引きを事例つきで紹介。更に、会議の進め方、メモの書き方、コーチングなどのノウハウを一斉開示しています。
例えば、コーチングについて。

P.151 コーチングとは?

  • 部下へのコーチングの考え方としては、オリンピックで金メダルを取ったジャンプ選手(皆さん)が
    • 「初めて30メー級のジャンプ台の上に立った小学生に、どうやれば跳べるのかすべ具体的に説明し、跳んで見本を見せ、怖がらなくてもいいように心の持ち方も納得がいくように説明し、やってみさせ、うまく行かないところはなぜうまくいかないのか説明し、もう一度見本を見せ、再度やらせて成功させる」
  • ことだとお考えいただきたい
  • 要は、
    1. 口で言うだけではだめ
    2. 見本を示す
    3. やらせてみる
    4. 結果の水準を理解させる、フィードバックする
    5. もっとうまく行くように助言する
  • ということ。十分具体的に、かつ見本を見せることが必要
  • 一言でいうと、「え、こんなにやるの? そこまで?」という印象を受けるはず。でも、そこまでやらないと人は変わらないので、そういうものだとご了解いただきたい。部下に「意識・行動改革」を起こさせることが上司の使命である

分かりやすい。そしてとても力強い内容だと思います。
ここまで書ききって無料で公開する例は世界的にもないんじゃないだろうかと思います。(コンサル会社に勤めていたときにも読みたかった。。。) 資料の文字が膨大でびっくりして萎えるけど、読んでいるうちに書き手の思いが詰まっている印象を受け、なんとか読み進められる量だと思います。


この件については検討段階より少々知っているのですが、資料を書いたのは、実質上はブレークスルーパートナーズの赤羽さんだと聞いています。マッキンゼーのパートナーを務めた人でソウルオフィスを立ち上げた経歴をもつというツワモノ。お会いしたことはないですが、本件についても凄いパワーで数ヶ月間かけて作り上げた模様。関係者の皆さま、お疲れさまでした。


はてなは自分たちでどんどん工夫していくというやり方にしているので、「このようにせよ」という指南をそのまま受け入れる必要はないと思いますが、個人的にハンドブックのように時々参照してみると面白いと思っています。
梅田さんが「ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!」でシリコンバレーの精神をエッセンスにまとめて金言集として公開するのに対し、文字をひたすら書き連ねて手取り足取り指南するこのやり方を見ると、メジャーリーグと日本のプロ野球の選手育成法の違いを思い起こしました。

OKwaveが新商品コンテンツマッチ広告

「OKWave」のQ&Aコンテンツと連動したキーワード広告を配信する『Q&Aコンテンツマッチ広告』の販売および配信を2008年3月17日より開始いたします。

『Q&Aコンテンツマッチ広告』は、Q&Aサイト「OKWave」にてサイト利用者の方々が日々取り交わしているQ&A(質問と回答)ページ内の、それぞれの回答ごとにQ&Aコンテンツと連動したテキスト広告を配信するキーワード連動広告商品です。

現在、質問文の下のOvertureテキスト広告が3本ほど出ているあたり、、ではないか。回答ごとに広告を出すのかな。
クリック100円はAdSense/Overtureコンテンツマッチ広告と比べてやや高い印象がありますが、ページ全体との関連性ではなく回答毎に関連性があるとするとよく見られるかも。注目。

広告と投資

織田さんのインタビュー。1年半ぐらい前の記事に先ほど出会いました。

アメリカの広告主はいまやベンチャーキャピタルみたいなもので、100あるうちの10ずついろいろなキャンペーンに試してみて、いいものについては他をやめて予算を投入する。昔だと例えば100ある予算のうち一つのキャンペーンで80をテレビにドカーンと入れて、残りをちょこちょことやっていたのに対し、いまはテストをしながら、キャンペーンを成功させていくというモデルに変えつつあります。

――なぜアメリカではそういった変革が起きているんでしょうか。

日本だとなかなか失敗できないじゃないですか。
アメリカでは、失敗すると首が飛ぶ人たちもいるけれども、同時に失敗しないと進まないというのも分かっている。100ある予算を10に分けて、10個の馬に賭け、それをポートフォリオとして見る。映画も同じですが、10本つくって1本成功して、残り3本がとんとんだったりする。マーケティングも似たような話になってきて、消費者がどんどん変わりつつある中でテレビだけに8賭けるというのは、非常にリスクが高いと思われる。
彼らがいつも言うのは、例えば「予算の10%なり5%なりをテスト的なものに使っていきたい、それが成功したらどんどん予算をシフトしていって新たなマーケティングチャネルとして使っていきたい」ということ。

「予算を100投入して、結果が110になることはあり得ない。3になるか、30になるか、300になるか、3000になるか。 広告は費用ではなく投資。」という話はウェブだけに限って考える必要はなく、マスも含め全体で捉えている企業はある、という話。
そう、10本中、1本成功して3本とんとん、残り6本は紙くずに消える、という感じであればまずまずの成果ですね。この打率だとなかなか悪くない。全体で見ると、金融の投資家が金融市場で勝つよりも、広告担当者が広告市場で勝つ方が機会は多そう。
ただ、ある手法で広告投資をお試しするにも、ある程度まとまったリソース(資金/知恵/時間)を張り込まないと、潜在的に得られる可能性のある成果を見通せないのは金融投資と一緒。これが大変なところだなぁ。

「負ける」こと

建築について

独創的であると同時に、社会に受け入れられる建築を作るため、隈はある流儀を貫き通している。それが“負ける”建築。
“負ける”建築とは、自己主張するのではなく、周囲の環境に溶け込むような建物を建てること。さらには、予算や敷地などの「制約」を逆手にとって独創的な建物を生み出すことを指す。

「予算や敷地に制約がなかったらどうしますか?」と尋ねられた隈は、こう答えた。
「制約がなかったら制約を探しに行くな。(中略)まさに宝ですよ、制約は。」

建築を進める中で、隈が大切にしているのが、最初のコンセプトを貫き通すこと。さまざまな制約の中で、素材や形を変える必要があったとしても、発想の“根”は譲らない。

とても沁みる言葉です。
制約を逆手に取って生み出すことは創造することであって、パズルのピースを埋めていくような淡々とした作業とは違う、と感じます。

広告と媒体について

リーチは広いが、効きは弱い、関与度低い、ターゲティングできない、15秒しかない、、、そんな、最末端、最周辺メディアだと、TVCMを捉え直すと、逆に出来ることが、拡がると思った。

リーチは広くない、”成果”は測定できるが軸が限定的なため過小評価される、「ぎょっと」させてはならない、誰でも引用でき悪評がつく可能性を拭えない、、、 そんなメディアだと捉え直すことで、逆にインターネット広告にできることはありそうそうです。

電子チラシにYahoo!も参入

紙のチラシはその殆どをすぐにゴミ箱行きにするという生活をしている身としては、資源を消費している気がしていかにも勿体ないので、広告情報のデジタル化が進むことは個人的には歓迎です。

ヤフーと凸版印刷は4日、電子チラシ事業において業務提携を締結し、3月下旬よりYahoo! JAPANにて「Yahoo!チラシ情報」の提供を開始すると発表した。

 Yahoo!チラシ情報は、インターネット上で折込みチラシを閲覧できるサービス電子チラシサービスで、Yahoo! JAPANが運営を行ない、凸版印刷が広告代理業務や電子チラシの制作、電子チラシデータの提供を行なう。凸版印刷が運営する電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」と提携し、Shufoo!に登録されている企業や店舗のチラシをYahoo!チラシ情報で閲覧できる。

 また、チラシ情報は住所や店舗名、ジャンル、都道府県から検索可能なほか、お気に入りの店舗や地域を登録することもできる。なお、Yahoo!チラシ情報のサービス開始に向けて、すでにイトーヨーカ堂とイオンのチラシ掲載が確定しているという。

凸版印刷が思い切った手を打ってきました。Y!の集客力を梃子に利用を拡大する意向です。
この手の事業は多分、「営業が先、集客が後」ということがセオリーかと思います。せっかく集客しても多くの人が求める情報がなければすぐ離れてしまいますので。
さて、Shufoo!に多くの人が良いと感じるようなチラシは集まるでしょうか? イトーヨーカ堂やイオンといった超大手小売業が入っているのは◎。ただ、両者は凸版印刷まで各種業務を発注していて既に営業ルートがありそうです。
電子チラシの良さは、地域に根ざす店が広告・販促情報をその地域の(新聞を取ってない)住人にセグメントして届けるところにあるとすると、営業はリクルートの方が強そう。リクルートのタウンマーケットhttp://townmarket.jp/)の方が若干有利な気がします。


あと、一気に場をひっくり返すことがあるとしたら、基地局情報・GPSから位置情報を利用できる可能性のある携帯キャリアが参入することでしょう。これほどメール・ウェブ含め携帯の利用が進んでいると、そろそろ頃合いだと考える人もいるかも知れません。 主な広告主となりうる小売業などの人たちは日銭商売である性質上非常に忙しく、紙のチラシの高精細コピーではなく電子チラシ専用の広告情報を作ってくれと依頼するのはなかなか大変だと思いますが、携帯ほどのリーチ・集客力があるととても魅力がありそう。。。