田中慎樹メモ

ネット広告、ビジネスモデル、ベンチャー、経営、日常について

Googleは「Don't be evil」を止めたのか

ちょこちょこ話題になってるこれ。

米fortuneによると、再編により2015年8月にGoogleの親会社となったAlphabet(Google創業者ラリー・ペイジ氏がCEOに就任)が10月2日、社員向けに配信した新しい行動規では、Don’t Be Evil(邪悪になるな)が削られ、Do the Right Thing(正しいことを行え)が新たに書かれているという。

米グーグル スローガン変更 Don't be evil (邪悪になるな)をDo the Right Thing(正しいことを行え)に - silvershield

自分もおおっと思ってGoogleのCode of Conductを見てみたけど、「Don't be evil」は最初に出てくるし、変わってなかった。

Google Code of Conduct

Preface

“Don’t be evil.” Googlers generally apply those words to how we serve our users. But “Don’t be evil” is much more than that. Yes, it’s about providing our users unbiased access to information, focusing on their needs and giving them the best products and services that we can. But it’s also about doing the right thing more generally – following the law, acting honorably and treating each other with respect.

https://investor.google.com/corporate/google-code-of-conduct.html

AlphabetのCode of ConductよりGoogleのCode of Conductのページって長いね。すごく良く整理されてるなとは思うんですが。『1. Serve Our Users/ 2. Respect Each Other/ 3. Avoid Conflicts of Interest/ 4. Preserve Confidentiality/ 5. Protect Google’s Assets/ 6. Ensure Financial Integrity and Responsibility/ 7. Obey the Law』。。。そして最後に『8. Conclusion』がある。Code of Conduct(行動規範)にConclusion(結論)があるってなんじゃらほい。と思ったら"And remember… don’t be evil, and if you see something that you think isn’t right – speak up! "と書いてあって、ここでもdon’t be evilが念押しされてた。これは、今日付の限りにおいては「Don't be evil」は生きてるという理解が正しいんではないか。


さて記事に戻ると、確かにGoogleの親会社として置かれたAlphabetのCode of ConductにDon't be evilは使われてない。ということは、Alphabet-Google=Gを除く25個のAlphabetの会社では、「Don't be evil」だと事業を立ち上げにくいということがあるんだろう。記事でも触れられていたが、2013年の段階で現Alphabet会長のエリック・シュミット”悪” の定義があいまいすぎる...し、新サービスや新製品のプロジェクトを進める上で、エンジニアのうちひとりでも「それは悪だ」と発言してしまうと、プロジェクトそのものではなく「悪かそうでないか」ということに注力をおいてしまい、計画自体はストップしてしまうとコメントしていたようだし。
Alphabetの他の子会社が、例えば延命に関するテクノロジーを扱うCalico(https://en.wikipedia.org/wiki/Calico_%28company%29)なわけで、確かに「evilとは何か?」と内部から問いかけるとプロジェクトはストップするだろうなあ。とは思いました。シュミットが変えたいモチベーションは分かった。


一歩引いて考えてみると、やっぱり自分としては小さな衝撃はあって、なんらかの疑念は拭えない。人によって、宗教や文化によって何がrightであるかは違う。「evilの可能性は高いけどrightだ」という判断があるのではないか?
慎重になるなら、ペイジやシュミットが作ったAlphabet(除くGoogle)はGoogleとは別物だよな、と思っておいた方がいいのかもね。