アドネットワーク広告について不勉強だったのでざっくり調べたメモ。
1. アドネットワーク広告
USのプレイヤーの規模感。アドネットワークのリーチが大きい
comScore Ad Focus Ranking(単位:千UU)
順位 Property Unique Visitors Reach - Total Internet:Total Audience 190,728 100% 1 Platform-A 170,508 89% 2 Advertising.com 167,749 88% 3 Yahoo! Network 160,206 84% 4 Google Ad Network 155,882 82% 5 Specific Media 144,773 76% 6 ValueClick Networks 140,930 74% 7 Yahoo! 138,912 73% 8 Tribal Fusion 135,113 71% 9 133,528 70% 10 Casale Media network 127,184 67% comScore Media Metrix(2008年4月)
上位10位のうち、7位Yahoo!、9位Googleを除いたすべてがアドネットワークです。上位10位はすべてUU数が1億を超えており、1位のPlatform-Aに至ってはUU数が1.7億、リーチが89%となっています。
米国メディアのUU数ランキングをとると、上位10社のうち殆どがアドネットワーク。すごい。
日本のプレイヤーの規模感は、USと比べると物足りない
アドネットワークの月間PV比較 - kawasakiのメモ - yukawasaグループ
プレイヤー 億imp/月間 アドバタイジングドットコム・ジャパン 6.5 impAct 7 ADJUST 20 MicroAd 68
Yahoo!JAPANの月間PVは200億PVを超える。これと比べると桁がひとつ落ちるネットワークが多く、まだ発展途上。
日本の媒体では、Yahoo!JAPANが圧倒的に大きい
日本UU数上位5サイト(単位:千UU)
順位 日本TOP5 UU Reach 1 Yahoo! Japan 42,753 88% 2 楽天 22,109 45% 3 fc2ブログ 20,896 43% 4 18,947 39% 5 wikipedia 18,922 39%
このリーチを活かして、Yahoo!JAPANがYahoo!アド・ネットワークを作ったり、楽天がアドネットワークを作ったり(楽天ad4Uなど)。媒体主導でのネットワークが進んでいる。
オプト佐瀬さん曰く、アドネットワークは大型であるか、または垂直型でないとだめだとのこと
前述の米国事例にもあるように、アドネットワークの成長には十分なUU数の確保、高いリーチの獲得が欠かせません。しかしながら、現在の日本においては、それらを満たすことは大変難しいと予測されます。要因としては、下記の2点が考えられます。
1. 日本では圧倒的な利用者を確保しているYahoo! JAPANの存在
2. 日本独特の文化であるメディアレップの存在
メディアレップはテクノロジーに耐えうるUU数は確保できていないように思われます。
今後、日本でアドネットワークが成長、成功するには、2つの要素が必要になると思います。1つ目は、大型アドネットワークの構築や、UU数は少なくとも、ある特定の分野のサイトを集めたバーティカルアドネットワーク(専門アドネットワーク)の構築です。また2つ目は、日本特有のターゲティング技術の発展と多様な配信方式、配信フォーマットを組み合わせられる広告メニュー体系の構築です。
ターゲティング技術の開発、広告メニュー体系の整備も必要だという指摘。
じだらくさん曰く、メディアレップのネットワークが圧倒することは簡単ではない
規模で戦って勝てる相手ではない。
プレミアムを付けるのも、
技術的な付加価値も簡単に追いつけてしまうものだ。
メディアレップ主導によるアドネットワークは、1位(Yahoo!)・2位(楽天)のリーチを持つ媒体を利用できず、逆に競合する羽目になっているため、媒体規模の確保が大変。また、技術的な付加価値も追いつける範囲だ、と困難さを語ってる。
川崎さん曰く、中小媒体は有力媒体社アドネットワークの傘下に入りやすい
有力媒体社、つまりたくさんトラフィックを持ってるところがそれより小さい他の媒体社(0.3<x<0.8くらい)に声をかけて拡大しているように見える。xの値がそのくらいじゃないとちょっと今は面倒にあわないということで。媒体社でも販売が苦戦しているところは有力媒体社に手数料を抜かれるけどレップのそれと比べるとすこしリーズナブルそして、有力媒体社は何より広告在庫を持っているから空き枠がでなくてありがたいありがたいという。加えてそれらの広告主はナショナルクライアントが比較的多くて安心。うち=中小媒体社単体ではなかなかそこ攻めきれないんですよという弱みもあってアドネットワーク参加しまっせ。そんな様子があるんじゃないかしら。
有力媒体社アドネットワークは、
- 手数料が悪くない
- 有力媒体社の既存顧客が「ついで掲載」をしてくれるケースが多くて在庫が余りにくい
- ナショナルクライアントが多くサイトイメージ上安心
という利点がある。ので、中小媒体はなびきやすい、と。
一方、USでも単純なアドネットワークは媒体価値を落とすという言説がある、とも
アドネットワークは嫌いだ。なぜなら超短期的な解決方法であって、良質な書き手にダメージを与えてしまうから。アドネットワークが配信する広告は不正直の広告主のひどい広告ばっかりだ。
広告をクリックしないユーザーが嫌悪するようなタイプの、獲得数重視で短期的視座しか持たない広告主も多いようだ。
2. 行動ターゲティング広告
業界人間ベムさん曰く、アドネットワークそのものの掲載ボリューム(在庫)が巨大でないとだめ
行動ターゲティングはターゲティングメールのように広告を配信するブラウザを特定して広告配信するので、そもそもそれだけのデータベース(ブラウザベース)のある巨大アドネットワークがないと力を発揮できないのだ。
ブラウザの同定のためには、まずどこかのサイトに訪れてくれないと始まらない。だから大型ネットワークである必要。
ネットワークが小さくても、ブラウズ履歴連動型広告だったらなんとかなるかも
履歴連動型だったら、巨大ネットワークを用意してcookieを吐いておく、という作業をしておかなくても、ブラウズ履歴をとるだけでターゲティングできる。日本だと楽天ad4Uなどでやってる。
でもよく訪れるサイトってそんなに変わらないかも。だとしたら、ほぼ同じ履歴が続く=同じ広告ばかり表示されて、飽きられたり気持ち悪がられたりしないのかな?実効性はどうなんだろう。
Google Chromeが行動ターゲティング広告の発展に影を落とすかも
Google Chromeは履歴やcookieを残さないプライベートモードを提供。IE8もFirefox3.1も搭載予定。行動ターゲティング広告が適用できる範囲が限定的になっていくかも。まだ分からないけど。
3. もっと知りたい
調べ次第、適宜追加します。
追記(9/17)
- オプトの佐瀬さんを佐藤さんと誤記していましたので訂正しました。すみません!>佐瀬さん
さらに追記(12/5)
- はてなは日経BP社のアドネットワークに参加することになりました。
- →日経BP社のアドネットワークに参画します - 田中慎樹のダイアリー