田中慎樹メモ

ネット広告、ビジネスモデル、ベンチャー、経営、日常について

サイバーエージェントの人事本部長、曽山さんのプレゼンを聞いた

お世話になっている会社さんの紹介で、都内でセミナーに行ってきました。
現状、自分は人事にタッチしておらず、とはいえ兼任してた時期はごく短くあり全く門外漢でもないという立ち位置。コーポレート系の一つの分野として頭の体操をしてきました。最近セミナー形式でゆっくり人の話を聞くような機会がなく新鮮さも感じつつ、リラックスして聞けました。

曽山さんは最近「クリエイティブ人事」を上梓されたのでそのプレゼンスを上げにも来たのかな。


内容はSlideshareに上げられてる定番ネタのようでした。


自分の記憶に残ったものとしては、例えば以下のようなものがありました。自分なりの解釈なので言葉尻は違うかも。

  • 人事は経営陣と現場を繋ぐ重要なコミュニケーション・エンジンである
  • 重要度は、制度構築2割、運用8割。運用にひたすら注力しないと成果が上がらない
  • 機能していない人事制度は止めるべき。止めると「あ、人事もちゃんと見てますね」と現場から信頼を得ることもある
  • 人事施策は、働く人に優しい方面と、刺激して引き上げる方面の2方向がある。前者は人事が主体、後者は経営の関与の元に行うべき


サイバーエージェントはネット系、オーナーシップ強い、代理店気質強い、などと設立以降特徴的な文化があるので、個別の施策についてうまくいったりいかなかったりという経験は、そのまま殆どの会社にとって当てはまるものでもありません。これはプレゼンでも言及されてました。そりゃそうだ。「キラキラ」サイバーエージェントと同じような会社はなかなかないわけだ。従業員数2,000名もいるし。


曽山さん(ブログ)にとって人事とは、とにかく人と話をして、現場を理解してそこで経営の意思をうまく伝達もすれば、経営とも話して経営メッセージが不明確だと投げ返したりもする、ということをひたすら続けていく分野だと見いだしたんでしょう。サイバーエージェントさんの創業事業は広告代理業で、人と話すことこそが仕事の中核ですから、とても「らしい」解決だなと思いました。


はてなも昔から「Strong Cultureだ」と評されることがあり、いろんな制度を試しては止めるということも経験してきて、ある意味立ち位置としては似てます。ただ、とにかく運用は重要で、去年より今年をベターに、今年より来年をさらに良くしていこうという気持ちを新たにしました。
このようにテキストに書いてみると、特段に変わったことは書いてませんね。うん。でもこの分野は凡庸さの中に本質があるのかも知れません。

2015年のソーシャルマーケティングはどうなるか(@北米)

eMarketerレポートのサマリ。2015年のソーシャルマーケティングの8つのトレンド紹介。

SNSと企業の一歩進んだ付き合い方講座 - 2015年の米ソーシャルマーケティングを大胆予測、八つのトレンドとは:ITpro


元となってるプレゼン資料は必見。英語だけど見やすいです。

Eight Trends to Watch for Social Marketing 2015 - eMarketer


元資料からの興味ある部分を抜き出して、意訳と感想。

→好景気もあるしFacebookTwitterモバイル広告を強化してきたという背景がありそう。やめることはしないんでしょうが、相変わらずROI測定は難しいという話でしょう。

  • 「エンゲージメント構築」よりも「コンテンツ配信チャネルの一環」

→エンゲージメント構築についてはだいたい取り組んでみたけど、規模が広がらないという課題が次に見えてきた。(エンゲージメント構築の取り組み自体は良いが、それを殆どの人に知って貰えてない。) それに企業側でオウンドメディアの取り組みが進んできたからコンテンツ配信として使ってみよう、ということですかね。

  • 「”モバイルファースト”は不十分、”モバイルオンリー”を考え始めても良さそう」

→これは釣り文句というか頭の体操としてどうぞ、ということに過ぎないのでは。スマホアプリのマーケティングであれば別ですが、実際に施策に落とすには相当レアケースでしょう。


全般的な感想として

「リアルタイムマーケティングよりはライトタイムマーケティングだ」というようなことも指摘されていて、日本に適用するにはちょっとズレてるなと思いました。日本で広告販促ECにきちんと目配りしてるLINEが、まだ北米に存在感ないからね。WhatsAppのマーケティング支援策が遅れてる、もしくはFacebookの陰に潜ってるという印象がより強まりました。
ただ日本でもソーシャルマーケティングがより重要になってきているというのは自明だと思いますし、日本発のアピールもどんどんしていきたいですね。

スマホコンテンツバブルとプラットフォームについて


NewsPicks - 「スマホコンテンツバブル」がやってくる

10月16日、KDDIはネット企業12社と共同で、コンテンツ連合「Syn.alliance (シンドットアライアンス)」構想を発表。生活情報サイト「nanapi」の買収など、合計7社に総額120億円を出資した。本構想の仕掛人であるKDDI・新規ビジネス推進本部担当部長の森岡康一氏(上写真)は「モバイルインターネットの新しい世界を創る」と宣言。このニュースが示す、コンテンツ業界の新しい潮流について考察する。

https://newspicks.com/news/660198/?more=true

昨日の発表から記事リリースまでが早く、力作ですね。
コンテンツプロバイダーにとって元気が出るような切り口で面白いですね。PCの世界でのプラットフォーマーYahoo!JAPAN(と、ソーシャル化の波の中でのプラットフォーマーFacebookTwitter)に牛耳られてた感あるなかで、この言説は受けそう。
ただ、今後どうなるかというヨミが重要ではないかと。この先ずっとプラットフォーマーが乱立し続けることは変で、いずれ統合されていくと考えるのが自然。そうなったときにコンテンツプロバイダーはどう生き延びられるか、どう交渉力を持てるようにするか。という見通しが大事なわけです。記事では「プラットフォーマー」の定義と整理がないから単に各プレイヤーが頑張ってます、という、現状を書いたルポにとどまってるかと。

(まあ想像ですが、そこはNewspicksさんの社外秘なんでしょうね)


お知らせ

当社はてなもSyn.に参画いたしました。いろいろ仕掛けていきます!

新しいモバイルインターネット体験を創出する「Syn.(シンドット)」構想始動〜国内最大級!月間利用者数4,100万の連合体「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」設立〜 - プレスリリース - 株式会社はてな

よく遊んだ原っぱ -  #地元発見伝

「記憶に残る風景」 #地元発見伝 の企画に乗って。自分が育ったところの近くにある原っぱ。
https://www.google.com/maps/preview?q=33.7129%2C130.97367
行橋市, 福岡県
左に見上げるのは給水塔。周囲にいくつか社宅があり、近所の子や社宅の子たちとここで集まって遊んでた。給水塔に登りたかったが手がかりがなくどうしても登れなかったことを思い出した。この地に10年以上足を向けてないが、その機会があれば隙を見て登りたい。怒られますね、はい。


https://www.google.com/maps/preview?q=33.7129%2C130.97367
行橋市, 福岡県
真ん中のこのレンガは井戸。当時、周囲はこんなに明るくなく鬱蒼とした林に囲まれていて、大人の目も少なくて子供心には快適だったけど、今その様子を再現したら貞子が出てもおかしくない雰囲気ですね。アオダイショウを時々見かけました。


キャンペーン内容

地元の魅力を発見しよう!特別企画「地元発見伝
http://partner.hatena.ne.jp/jimoto/

配信型のネイティブ広告、『「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃』について

“バイラル”の次にくるもの/「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃 | 藤村厚夫 Media Disruptionを読んで。

筆者(藤村)の発想は、編集コンテンツと同じく、広告もまた分散型(配信型)へと行きつきます。それも、ネイティブな、広告としてです。
すなわち、人気プラットフォームへコンテンツとともに、コンテンツの文脈を活かせる広告クリエイティブも配信することが、ひとつの解として浮上すると考えるのです。配信型のネイティブ広告には、そのような可能性があります。
2000年代にはすでに成熟化を遂げていたデジタルメディアのビジネスモデルが、いま動きだそうとしているのです。

藤村さんがスマートニュースで取り組むことにしたネイティブ広告ネットワークに賭ける思いを、このエントリーで改めて噛みしめました。
(お目にかかったことはないんですが、数年来ネイティブ広告を追いかけ続けてたのを、ブログエントリーやTweetで知ってまして、、 →例:参照

「分散型BuzzFeed」という構想は、最適化されたシステムとコンテンツ編成チームでバイラルさせる仕掛けを作ってしまい、どんなプラットフォームが主流だろうがうまく乗り換え乗りこなすというものだと理解しました。BuzzFeedが既にこういうことを考えてて実験してるというのは確かに衝撃です。日頃、facebookTwitterといった巨大プラットフォームに鼻っ柱を引きずり回されてる感がなきにしもあらずのメディアやコンテンツプロバイダーにとっては、ある種痛快であり、少なくとも一考の価値はある、となるでしょう。自分も色々考えてしまいます。

ただ、自分の今のところの所感は、手探りでネガポジ中間~ややネガティブ寄り、といったところですね。ネイティブ広告 × ネットワークに関して河野さんが挙げていた以下のポイントを回避出来るアイデアが出てくるか次第だと思います。

けっきょくネイティブ広告を突き詰めていけば、見た目だけじゃなく内容もそのメディアに「自然になじんだ」ものになるので、他メディアにコピペで掲載――たとえば見た目だけ変えて掲載――することが無理だと思います。
(そもそも編集部がつくってれば転載なんてできないんだけど)

ネットワークのように「同じものをあちこちに掲載できる」時点で、(IABの定義的にそれがネイティブ広告だとしても)ぼくはうまくいくとは思えません。

https://note.mu/smashmedia/n/nc25a45e0c860

引用した文章を読み返すと、とても正論だなあ。ひっくり返せるかなあ。
でも、業界の大半がポジティブだったら、ベンチャーとして取り組む必要は別にないと思いますしね。アイデアと仕組み、事例を積み重ねて、どんどん進化していけるのがウェブ業界なので、思わず期待してしまいます。

遺伝子検査のMYCODEに申し込んでみた

DeNAさんがMYCODEという名前で先週から遺伝子検査サービスを3日前の8月12日に始められたので、申し込んでみました。

 MYCODE(マイコード) |これから先の健康のために自宅でできる遺伝子検査を

 

今年に入って遺伝子検査サービスは本格化してきていて、東京大学の博士課程の方々が作ったスタートアップ企業のGeneQuest (ジーンクエスト)さんが注目され、この7月でソフィアホールディングスさんにバイアウトされ(参照)、またYahoo!ヘルスケアでもGinelife Zero(ジーンライフ・ゼロ)が販売され大規模に広告もされてる。。。といったところ。

 

開始の翌日にサイトにアクセスして早速申し込んでみました。2日後の今朝にはもう、ゆうパックで届いた。早い。

 

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せっかくだから、現状素人向けに開示出来る項目全部を知りたいと思い、メニューは”オールインワン(280+)”に。 この中に入ってる唾液採取キットを送り返したら、2-4週間以内にMYCODEのマイページ内で検査結果が見られるようになるというサービスです。
遺伝子検査を医療にそのまま結びつけることの危険性は既にメディアでも言われてます。(誤判定でも予防に使われるリスクとか。 例:がん・糖尿リスク、唾液遺伝子で解析 東大系が参入:朝日新聞デジタル) 病気は環境要因、生活習慣とも大いに関わっているでしょうから。
ただ、自分の身体について遺伝子のレベルで何かが分かるということが初めての体験でして、すごく面白そうですよね。2014年時点で分かることを記録しておこう、という意図もあります。
ゲームなどで稼ぎつつ、左脳に強いカルチャーをもつDeNAさんのことですから、検査結果をお知らせして貰えるだけじゃなくて、今後も何かサービス提供してくれるんじゃないかな。この手のサービス、どんな未来が開けてるんだろうか。楽しみ。
 

Amazon Fire Phoneの「Firefly」という試み

Amazonが初めて自社製作のスマートフォンを発売。注目はやはりFireflyですね。


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リアル世界での商品検索、情報検索を画像認識で行ってしまおうという試み。ボタン1つで画像認識して検索出来るのは良いですね。
とはいえ、スマホにボタンをつければ使うのかというと、そうともいえない。かつてソフトバンクのケータイにY!ボタンがついたけどさほどYahoo!への導線に繋がらなかったという事例も有りました。Fireflyでの検索結果も簡単な商品検索に留まるなら、結局単なるバーコード検索と一緒で、ユーザーの期待を外してしまうかも知れない。どんなものか触ってみたいです。


検索の次、ということで、検索エンジンのリーダーGoogleは「検索する前にレコメンドする」を挙げて、例えばGoogle Nowを強化しています。それも正しい方向なんでしょうが、Amazonの方が組織としては動きが速いかもしれません。小売業たるAmazonにとってはFireflyも購買に繋がれば良い施策だし、そうでなければ良くなかった施策になります。好き嫌いあれど、とてもシンプルな思想、シンプルな指標で開発及び撤退を進めることができます。



先日、スマホ時代は「検索エンジンからアプリへ」というコンセプトで、Googleが検索シェアを落とすであろうという主張が調査会社eMarketerから出て、それを紹介したTechCrunchの記事が日本でちょっと話題になりました。自分は懐疑的だとこそっと書きましたが... Fifeflyのようなサービスが目の前に出てくると、おおっ、と思いますね。

アプリでそこかしこで検索されるようになるんです、というより、このFireflyに代表されるハードと一体となった画像検索・商品検索の技術によって、Googleがリードしてきた検索シェア状況ががらっと変わるんです、という見立ての方がダイナミックで面白いですね。