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田中慎樹メモ

ネット広告、ビジネスモデル、ベンチャー、経営、日常について

広告の需要減と流通寡占についての記事

広告は、自由な市場において商品の送り手と受け手の消費者のあいだで成り立つ情報交換で、その情報交換がたくさん行われることで、消費者はバランスのとれた知識を得られた。しかし、寡占が進むと、メーカーは、マスコミを通じて宣伝するよりも、「強力な流通業者に、セールスプロモーションと称するカネを払って、自分の商品を売ってもらうほうが効率的という考え方になる」。
 また流通業者のほうは、どんなに大きくなっても一つひとつの店舗で勝負しており、店舗の周辺に宣伝するのであれば、チラシなどの広告のほうが効果的で、マス広告はそれほど必要ではないと見るようになってきたと氏家氏は説明している。
 こんなことを言ってしまうと、ますますテレビ広告離れが起こるのではないかと心配になるが、そんなことにこだわらず言ってのけるのが「ドン」のドンたる由縁なのかもしれない。というよりも、広告主は、もはや体験的にそうしたことを理解し実践しており、ドンの発言に左右される段階は超えているということでもあるのだろう。

WIRED.jp


そういう見方が一般的になってきそうですね。個人的には賛成です。→参考:マス4媒体の広告宣伝費が伸び悩んでいる理由 - 田中慎樹のダイアリー



しかし、流通の寡占化だけでなく、新しい産業の寡占化進行が速いのも一因、と言い切るのはどうでしょうか。

「確かに、新しい産業は出てくるが、寡占化の進展が速い。上位1、2社で寡占するような状況になれば、もうマスの広告は必要なくなる。もちろん広告機能が完全になくなることはありえない。トヨタさんだって、新車を発売する場合、とりあえずマスで市場に告知するだろう。それは変わらないが、量が減っていく」。

実際、広告量が減り、減った広告を穴埋めするために広告料を引き下げ、収入が落ちるという悪循環が起きているわけだが、この氏家氏の言葉をひっくり返して言えば、寡占化の進展よりも新しい産業が出てくるスピードが速ければ、マス広告は減らないわけだ。しかし日本は、アメリカのように、次々と新しい産業や参入者が出てきて新陳代謝が起きるという具合にはなっていない。ブランド広告にとって厳しい環境になっている。

WIRED.jp

寡占化するとマス広告は必要なくなるって本当ですか。寡占化プレイヤーだってリマインド効果を期待して広告を重要視してきてるじゃないですか。自動車業界然り、飲料業界然り。また、これらが「新しい産業」じゃないというなら、携帯電話業界では如何でしょう。また、ケータイコンテンツ業界の雄たるモバゲーやGREEはマス広告をきちんと出稿してませんか?
広告主側の「寡占」が広告に与える事情はもう少し読み解いて頂く必要があるのではないかと思います。


以下、野暮な補足

しかし、今年1月の雑誌記事の中で「私は3年ほど前から構造的変化が起きていると感じ、社内外で発言してきた」と豪語される氏家さんは、その3年前である2006年1月時点では違うことを言っていたというツッコミもありますが、そんなことは野暮ですかね。

■広告収入の伸びは鈍化するだろうと言われています。
氏家 急に伸びていくということはないかもしれないけれど、安定成長期に入ったんだから、国内経済の成長と同じ程度には伸びていきますよ。
■経済成長と同等ですか。
氏家 同じレベルでは伸びていきます。

ネットとの提携、融合? あり得ないよ - ビジネススタイル - nikkei BPnet


それを指摘されていた山本直人さんはもう少し前に見通されていたようです。

「メーカーなどの供給者はマスコミを通じて直接需要者に宣伝するよりも、強力な流通業者に、セールスプロモーションと称するカネを払って、自分の商品を売ってもらうほうが効率的という考え方になる」
つまり「ネットの発達で」云々以前の問題なのであって、これは、まったくその通り。ただ、どこかで聞いたことがある気がする......と思ったんだけど。
そう言えば自分で言っていた。こちらのインタビューである。
2007年の6月のことなんだけれど、サイバーエージェントの須田さんと小越さんに頼まれた話したことだった。

流通と広告の重要な関係。 - 広告って、なに?

インタビュー記事一覧は今でも色あせない内容だと思います。

そんな風に先を見通してきた山本直人さんの最近の著書はこちら。関心有る方は一読をおすすめします。