読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

田中慎樹メモ

ネット広告、ビジネスモデル、ベンチャー、経営、日常について

「感じるマネジメント」読んだ

遊び仲間の書いたこの手の本をレビューするのは苦手ですが、出版後1年経っても魅力が褪せない内容なので書いておこうと思います。
カヌー仲間で人事コンサルタントの吉川さんが登場する、リクルートHCソリューションズの本「感じるマネジメント」について。

感じるマネジメント

感じるマネジメント

概要

グローバルに展開する自動車電装部品メーカー、「デンソー(Denso)」が、数万人規模の従業員と企業理念「Denso Way」を共有するために何に取り組んだか、という話です。

事業が拡大していくにつれて多くの人が関わっていくため、自分たちの社会的使命や成し遂げたいこと、価値観を共有しておかないと判断の軸がぶれてしまう。これに危機意識を持つ企業は数多いことでしょう。この物語に登場するデンソーもその1社でした。
なお、こういうときのコンサルティング案件の進め方としては、自分の記憶では以下の手法が1つの定石かと思います。 経営陣・創業者にインタビュー→理念・ビジョンを抽出→経営陣に確認・承認→経営発表でプレゼン→各従業員に伝わるよう、一部にテスト的ワークショップ開催→フィードバックを受けて展開方法を一部修正→ワークショップ開催→忘れないようツール配布。アンケートなど定量指標を作って「浸透度」を随時計測し、基準値を超えたことを確認しつつ終了。
でもこの本を読み、これでは足りない。質的にまったく足りない。方法論だけではカバーできないんだ、ということが良く分かる本でした。

理念は”浸透”しない

本書の登場人物が「伝える」ことについて辿り着いた先は、上智大学神学部の山岡三治学部長の発言。

「< 布教>という時代は終わりました」
「上から下へ、相手の持っていないものを授けてやるのだ、という考え方はもはや通用しません。いや、もともと機能しないのです。そういうやり方は、西洋の科学技術が最先端を行っていた一時期に、力のない伝道者が安易に技術の威光を借りて行っていた方法にすぎません」「教えるのではなく、共に学ぶのです」「相手の心の中にある宝物を相手と一緒に見つけながら、共に豊かになること。伝道者の役割とは、そういうことです」

相手の中に既に宝物はあって、これを共に見つけ出すという観点。
この観点に着目することで、『”理念”プロジェクトで「従業員の中にかつて行動してきたことの中に「Denso Way」という価値観に適合するものはあって、これを見いだせるように共に語り合う」というアプローチを見いだすことができた』ということが、物語の中核部分となっていました。

同じ「あこがれにあこがれる」

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)」で、齋藤孝さんが梅田望夫さん相手に、教育は「あこがれにあこがれる」構造だとさらりと指摘していました。同じ価値観を見いだす構造は同じなのかも知れないと、どきりとしました。

齋藤 
僕は、教育は「あこがれにあこがれる」という構造だと思っているのですが、自分はそもそも何にあこがれたいかがはっきり見えずに、迷っていたり、もがいているのが普通なんですね。何かに対する強烈な「あこがれ」を体現し、猛烈な勢いで学び続けている先生が身近にいれば、その「あこがれ」に感化される。
私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

手に取ってみること、おすすめします

単行本ですが、ビジネス書には珍しく余白を広く取っている本です。文章量をあえて削っている節があり、読者が自発的に考えることを促している仕掛けとなっています。本書のテーマ「”伝える”とは何か」を、「書かれたこと」「広い余白」の両面から味わうことができます。リズムの良い言葉もいろいろあるので、是非一度手にとってみてはと思います。
僕が吉川さんから「レビューを書くから」とタダでせしめた本がありますので、先着1名様にプレゼントします。興味ある方はプロフィールページのメールアドレスまでご連絡下さい。

感じるマネジメント

感じるマネジメント